ブリッグスの正体はジム・フェルプスの息子?『ミッションインポッシブル ファイナルレコニング』最大の伏線回収を解説!
『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』で、イーサン・ハントを執拗に追い詰めるCIAエージェント、ジャスパー・ブリッグス。彼の正体こそが、30年にわたるシリーズの歴史を揺るがす、最大のサプライズでした。
結論から言うと、彼の正体は第1作『ミッション:インポッシブル』の裏切り者、ジム・フェルプスの息子です。
この衝撃の事実は、多くのファンが「シリーズ最大の伏線回収」と絶賛するポイントです。しかし、彼の物語は「ジム・フェルプスの息子だった」という一言では到底語り尽くせません。
- なぜ彼は、個人的な復讐心と国家への忠誠心という矛盾を抱え、イーサンを追い続けたのか?
- すべての元凶である父、ジム・フェルプスは、第1作で一体どんな裏切りを行い、どのような最期を迎えたのか?
- そして、憎しみで始まった二人の関係は、どのような形で感動的な「清算」を迎えたのか?
本記事では、シリーズを5回以上鑑賞した筆者が、ブリッグスというキャラクターに隠された謎と、監督クリストファー・マッカリーが仕掛けた巧みな物語の構造を、TVシリーズの背景まで踏まえて徹底的に解説します。
これは単なるキャラクター解説ではありません。イーサン・ハントの人生の「清算」であり、製作陣から我々長年のファンへの「清算」でもある、この壮大な物語の深層を、一緒に解き明かしていきましょう。
『ミッションインポッシブル ファイナルレコニング』のブリッグスとは何者?その正体と基本情報
『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』のジャスパー・ブリッグスの驚愕の正体は、『ジム・フェルプス Jr.』。TVシリーズ『スパイ大作戦』のリーダーであり顔、『ジム・フェルプス』の息子だったのです。
長年の『スパイ大作戦』ファンにとっての最大の『清算』課題、『ミッション:インポッシブル』第1作の『ジム・フェルプス裏切り者』問題。トム・クルーズ大ファンの筆者でさえ、この点だけは、眼をそむけたくなる悪設定。シリーズ30年たって、や~っと最大の伏線回収です。
ジャスパー・ブリッグスの正体は、『ジム・フェルプスの息子.』プロフィール
まずは、ジャスパー・ブリッグスの基本的なプロフィールです。
- 本名:ジム・フェルプス・ジュニア
- 年齢:36歳(7歳の時に父のフェルプスが消えた(M:i-1の1996年)というイーサンのセリフをもとに推測)
- 父親:ジム・フェルプス(『ミッション:インポッシブル1』の黒幕であり、裏切り者)
- 偽名:「ジャスパー・ブリッグス」
- 所属:CIA(アメリカ中央情報局)。IMFではありません。
- 結末:本作の終盤でイーサンと和解し生存します。
- 演者:シェー・ウィガム
ここで気になるのが、「なぜ彼はブリッグスという偽名を?」という点ですよね。
これには二つ意味がありそうです。
- CIA内で汚名でもある「ジム・フェルプス」の息子というのを隠そうとした:
これは組織を裏切ったフェルプス君の名前だと、諜報の世界では問題が発生する懸念がある。だから偽名で仕事をすすめていたと筆者は考えます。
ただしイーサンとの会話から、
ジム・フェルプスは父親の名前ではない。今は私の名前だ
というシーンがありますので、名前に誇りを持っていることがわかります。
- TVシリーズ初代リーダー「ダン・ブリッグス」へのオマージュ:
こちらには裏話もあるので、次で詳しく紹介します。
ブリッグスは初代リーダーの名前、「ダン・ブリッグス」から?
ジャスパー・ブリッグスという名前のもう一つの意味。これは、TVシリーズ『スパイ大作戦』の初代リーダーの名前へのリスペクトとオマージュ説が強いと筆者は考えます。クリストファー・マッカリー監督の粋な計らいと思います。
実は、映画の原作であるテレビドラマ「スパイ大作戦」のシーズン1で、チームを率いていた初代リーダーの名前が「ダン・ブリッグス(演:スティーブン・ヒル)」なんです。まあ、ヒルは、制作側と意見が合わず、第一シーズンの半ば(第28話)で降りたので、知らない人も多そうですが。
S2からピーター・グレイブスがジム・フェルプス役を最終話(第171話)まで演じ、新スパイ大作戦(全35話)でも続投したので、こちらが圧倒的に有名です。だからフェルプス君は、スパイ大作戦シリーズの顔なのです。
次のセクションでは、ブリッグスがイーサンを追いかける理由について迫っていきましょう。
ブリッグスがイーサンを追う本当の理由とは?
ジャスパー・ブリッグス(ジム・フェルプス Jr.)がイーサンを執拗に追跡する理由は、「イーサンの命令無視の行動が、アメリカの国益と世界安定化に不利益」要素が7割、「父フェルプスとイーサンの因縁から復讐」要素が3割くらいと筆者は考えます。
それをブリッグスのセリフから探っていきましょう。
デッドレコニングのイーサン追跡のブリーフィングシーンで:
「よく聞け! 国家に恨みを抱く米国の諜報員が行方をくらまし、暴走した。奴の行動は国益への脅威であり、いかなる犠牲を払っても無力化せねばならない。奴が所持するものはすべてが極めて重要であり、無傷で確保すること。奴自身の命はどうでもいい。」
次に、
ファイナルレコニングでルーサーが死亡した直後、ブリッグスはイーサンをとらえます。イーサンは、盟友の死に身も心も疲れ果てて、路上でひざまずきます。両手をあげて、十字キーを差し出す。ブリッグスは、イーサンにゆっくり近づいてキーを受け取ります。気遣う素振りすらあります。
その後の移送機内でのブリッグスのイーサンへのセリフ:
「俺がここにいるのは、お前こそが、世界を最終戦争の危機に晒している元凶だからだ。それに、お前が人類の運命を賭けたギャンブルは、これが初めてじゃない。もしお前が一度でも命令に従っていれば、そんなことはどうでもよかった。」
ブリッグスはイーサンを「命令を聞かないギャンブラー」と見ており、その行動が国益を損なうと考えています。彼の行動原理は、あくまでCIAエージェントとしての職務遂行が最優先であり、これが理由の大部分を占めていると考えられます。
そうはいっても、復讐要素が少しはありそうなのが、このセリフ:
「お前の話では、俺の父親は裏切り者だった。だから奴を殺したんだ。」
「復讐のためにここにいると? それとも、なんだ? 親父の名誉を晴らすためか? もう、これは俺の名前なんだ。
口では「復讐のためにここにいると思うか?」と否定しつつも、その口調や表情からは、30年間抱え込んできた父親への想いと、イーサンへの複雑な感情が滲み出ています。彼は、父の汚名をすすぎたいという気持ちと、その父の名を継いだ自分自身のプライドのために戦っているのです。
デッドレコニングの列車シーンでは、
イーサンがガブリエルを指し「追うべきはこいつだ!」と言った際も、
「奴のことなどどうでもいい、俺が欲しいのはお前だ!」と叫んでいます。
この過剰なまでの執着は、私情である復讐心がなければ説明がつきません。
では、ブリッグスがこれほどまでに信じて疑わなかった父、ジム・フェルプスとは、第1作で一体どんな裏切りを行った人物だったのか?すべての原点である30年前の事件を、ここで一度振り返っておきましょう。
【伏線の原点】父ジム・フェルプスとは?第1作の裏切りと死亡の真相
『ミッション:インポッシブル ファイナルレコニング』の物語を深く理解する上で絶対に欠かせないのが、第1作の裏切り者、父、ジム・フェルプス(ジョン・ボイト)の存在です。
特に、筆者のような長年のシリーズファンにとっては、ミッション:インポッシブル 1でのジム・フェルプスの裏切りは大ショックでした。だってTVシリーズのS2からピーター・グレイブスがジム・フェルプス役を演じ(第29話~第171話)、新スパイ大作戦(全35話)でも続投した、シリーズの顔。頼れるリーダーが裏切るなんて、TVシリーズファンにとっては、絶対に想像できない設定だから。
1996年公開の『ミッション:インポッシブル』で、ジム・フェルプスは、イーサン・ハントが所属するIMFチームの、尊敬されるべきリーダーとして登場。しかし、その裏で彼は、長年のスパイ活動に疲れ果て、すべてを捨てて大金を手に入れるための計画を立てていたのです。
ジム・フェルプスの裏切り計画
- 偽のミッション: プラハでのミッション自体が、彼が仕組んだ罠だった。
- 仲間殺し: 計画の邪魔になるチームメンバーを次々と殺害。
- 情報漏洩の偽装: イーサンが裏切り者であるかのように見せかける偽の証拠を用意。
- NOCリストの売却: 全世界の潜入諜報員のリスト「NOCリスト」を武器商人に売り、大金を得ようとした。
この計画の黒幕が、まさかのジム・フェルプス。そして、彼の妻であり、チームの一員でもあったクレア・フェルプスも、この裏切りに加担していました。(最終的にクレアは、口封じのために夫ジムによって射殺され死亡)
計画は完璧に進むかに見えましたが、唯一生き残ったイーサンの活躍によってすべてが暴かれます。追い詰められたジム・フェルプスは、ロンドンでTGVの屋根の上でイーサンと壮絶な死闘を繰り広げました。最後は逃亡用のヘリコプターに乗り込みますが、イーサンが仕掛けたガム型爆弾によってヘリごと爆死。これが、ミッション:インポッシブル1で描かれたジム・フェルプスの死亡の真相です。
ブリッグスが7歳のときに、この事件は起きています。父親がそんなことをしていたとは、想像すらできなかったでしょう。「イーサンが父フェルプスに濡れ衣を着せたのではないか」と想像してもおかしくありません。
この二人の因縁が、30年の時を経て、ついに決着の時を迎えることになるのです。
対立から和解へ:ブリッグスとイーサン、30年の因縁の『清算(ファイナルレコニング)』
ジェスパー・ブリッグスとイーサン・ハント。30年にもわたる二人の因縁は、『ミッション:インポッシブル ファイナルレコニング』で、実に『ミッション:インポッシブル』らしい、感動的な「清算」を迎えます。
【対立】イーサンの歩み寄りを拒絶するブリッグス
物語の中盤、イーサンはブリッグスとの対話の中で歩み寄りを見せますが、ブリッグスはそれを頑なに拒絶します。
輸送機内でイーサンは、父フェルプスの件をブリッグスに話し、手錠につながれた右手をブリッグスに差し出します。その手を一瞥しただけで無視したブリッグスは、
「忘れたか、俺はお前を知っているぞ、ハント。お前たちのIMF式心理ゲームは、すべてお見通しだ。」
と心理戦には引っかからないという態度を示します。そして、心の奥底にある想いを吐き出すのです。
「これが終わったら、連中がお前を始末し終えたら、その時はお前と俺で…決着をつけよう。」
このときのイーサン、過去の因縁が今になっても引きずっているのかという、とても悲しい顔をしています。まだ二人の「清算」はこの時点ではついていませんでした。
【和解】イーサンとブリッグス 憎しみを超えた魂の握手
ブリッグスの心を融かしたのは、イーサンの「誠実さ」と「行動」でした。
筆者は、イーサンの歩み寄りを一度拒絶したことこそが、ブリッグスの心に反芻をもたらし、イーサンへの見方を変えるきっかけになったのではないかと考えています。
それに同僚のドガが、『デッドレコニング』で繰り返し「イーサンの行動は正しいのではないか」とブリッグスに問いかけていたことや、『ファイナルレコニング』でイーサンチームと行動を共にしていることも、ブリッグスが考えなおすきっかけになったかもしれません。
そして決定打となったのは、その後のイーサンの行動でした。
彼は、個人的な因縁や誤解を解くことよりも、世界をAI「エンティティ」の脅威から救うという、より大きな目的のために文字通り命を懸けて戦います。その姿を目の当たりにしたブリッグスは、ついに理解したのだと思います。
- 自分の父、ジム・フェルプスは、私利私欲のために仲間を裏切った。
- しかし、目の前の男、イーサン・ハントは、大義のために自己犠牲も厭わない。
この決定的な違いを悟った時、彼の30年間の憎しみは、尊敬と理解へと変わっていったのでしょう。
あの終盤の握手のシーン…、涙なしには見られませんでした。本当に。あれは単なる休戦協定ではなく、過去のすべてを「清算」し、互いを認め合った、魂の和解だったと感じています。
キトリッジにソースコードを渡して、立っているイーサン。そこにブリッグスから歩み寄り、右手の銃を一瞬向けるかと思いきや、それを左手で180°反転して、右手をイーサンに差し出す。その右手を一瞬唇をかみしめて、見つめるイーサン。一瞬、「その手を握っても良いのか」と言わんばかりに、イーサンは、ためらいがちに手を差し出し握手。
握手が力強くなったところで、肘を曲げて、アームレスリンググリップな握手。これは「兵士やアスリートなどが互いの敬意や固い絆、戦友としての誓いを示すもの。対等な力関係と揺るぎない信頼を象徴する、特別な意味合いを持つ握手」です。
このシーン、筆者は本当に感動、そしてうれしかったです。長年愛してきたフェルプス君とイーサン、過去の因縁が、30年越しに、予想外の形で『清算』されたのですから。
この場面、第1作の関係者だけが登場しているのも、長年のファンにとっては良い設定です。
この見事なまでの伏線回収。なぜ監督のクリストファー・マッカリーは、今このタイミングでジム・フェルプスの息子を登場させたのでしょうか?その巧みな製作意図に、次は迫ってみたいと思います。
なぜ今ジム・フェルプスの息子を登場させたのか?製作意図とシリーズにおける役割
『ミッション:インポッシブル ファイナルレコニング』で、なぜ監督クリストファー・マッカリーは、30年も前の裏切り者であるジム・フェルプスの息子、ジェスパー・ブリッグスを登場させたのでしょうか?
これはもう、監督から長年のシリーズファンへの、「清算(ファイナルレコニング)」の意味合いがかなり強いと筆者は考えています。
さすがにトム・クルーズも『ミッション:インポッシブル 1』の映画化で、ジム・フェルプスを悪者にしたことは、心の奥底に引っかかっていたのかもしれません。トム・クルーズが自分の会社「クルーズ/ワグナープロダクションズ」の第1作だから、いきおい余ってやってしまったのかもしれませんが、やりすぎたとトムも反省していたのかも。
ブリッグスの存在は、本作のテーマである「ファイナル・レコニング(最後の清算)」を、これ以上ないほど完璧に象徴していました。
ブリッグスの役割と製作意図
- イーサンの原点への回帰: ブリッグスの存在は、イーサン・ハントというキャラクターを、彼のキャリアの原点である「最初のミッション」へと強制的に引き戻します。これにより、イーサンがなぜIMFエージェントとして戦い続けるのか、その根源を改めて問い直すことになります。
- シリーズの円環構造: 第1作の因縁が、シリーズ最終作(とされる本作)で清算される。この構成は、29年にわたる長大な物語に見事な円環構造と美しい対称性をもたらしています。これぞ集大成!
- テーマの具現化: 「最後の清算」という抽象的なテーマを、「父の罪を背負った息子との和解」という、非常にパーソナルで感情的な物語に落とし込むことで、観客はテーマを肌で感じることができました。
考えてみれば、トム・クルーズ自身が製作にも深く関わるこのシリーズが、ただ派手なアクションを繰り返すだけの作品ではないことは、ファンなら誰もが知っていますよね。イーサン・ハントの人間性やチームの絆を描き続けてきたからこそ、この過去作とのつながりが、めちゃくちゃ胸に響くんです。
もしブリッグスが、ただの「イーサンを追うCIAエージェント」だったら、物語はもっと平坦なものになっていたかもしれません。しかし、彼が「ジム・フェルプスの息子」であったからこそ、物語に歴史的な深みと、予測不可能な緊張感が生まれました。
このプロットを考えついたクリストファー・マッカリーと脚本チームには、本当に脱帽です。まさに「M:i愛」の結晶と言えるでしょう。
これでやっと、『スパイ大作戦』ファンと『ミッション:インポッシブル』製作陣の間にも和解が生まれたのではないかと筆者は考えます。
しかし、彼の物語には、まだいくつかの謎が残されています。特に気になるのは、彼の母親の存在ですよね。最後に、そんな未解決の謎に少しだけ触れてみましょうか。
ブリッグスに関する未解決の謎:母親はクレア?
『ミッション:インポッシブル ファイナルレコニング』で、ジェスパー・ブリッグスとイーサンの30年にわたる因縁は見事に清算されました。しかし、彼の物語の全てが明かされたわけではありません。いくつかの「未解決の謎」が、私たちの考察欲を刺激します。
最大の謎:ブリッグスの母親は、第1作のクレア・フェルプスなのか?
これは、多くのシリーズファンが抱いた疑問ではないでしょうか。
父親がジム・フェルプスである以上、その妻であったクレア・フェルプスが母親だと考えるのが自然な流れです。しかし、劇中では彼の母親が誰であるかについて、一切言及されませんでした。
ミッションインポッシブル1時点(1996年5月22日前後)のフェルプス、クレア、フェルプスJr.の年齢を考察してみましょう。
確実に判明しているのは、
- クレア・フェルプス:32歳(1964年4月16日生まれ、M:i 1冒頭のIDカードからの情報)
- フェルプス Jr.:7歳 (イーサンからブリッグスの本名に関する発言から推測)
- 父のジム・フェルプス:推定70歳(根拠は下記)
フェルプス(父)はTV版も映画版も正確な年齢不明。このシリーズは俳優と役柄の年齢がほぼ一緒なことが多い。それをもとに計算すると、
- 新スパイ大作戦終了時(1990年)のピーター・グレイブスは64歳
- ミッション:インポッシブル 1は、新スパイ大作戦の続編(リメイクではない)として6年後の設定だから、フェルプス君は70歳
つまり
- フェルプスJr.はフェルプス父63歳のときの子ども。
- クレアを母親と仮定すると、25歳のときの子ども
フェルプス(父)とクレアが何年結婚していたか、不明ですが、クレアが母親であってもおかしくない設定です。また例えクレアがフェルプスJr.の実母でなかったとしても、交流はあったと考える方が自然です。
まとめ:ブリッグスの物語が私たちに示したもの
この記事では、『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』に登場したジャスパー・ブリッグス、すなわちジム・フェルプス・ジュニアの謎に迫ってきました。最後に、この記事の重要なポイントを振り返ってみましょう。
- ブリッグスの正体: 彼は第1作『ミッション:インポッシブル』の裏切り者、ジム・フェルプスの息子でした。
- イーサンを追う理由: 国家への忠誠心という公的な使命感と、父の復讐という私的な動機が複雑に絡み合っていました。
- 因縁の清算: 憎しみから始まった二人の関係は、イーサンの行動と誠実さによって、最終的に「戦友」としての敬意と信頼の握手で締めくくられました。
- 製作意図: 彼の存在は、イーサンの物語を原点回帰させ、シリーズ全体のテーマである「ファイナル・レコニング(最後の清算)」を象徴する、まさに集大成のキャラクターでした。
結論:30年越しの「清算」が意味するもの
ジェスパー・ブリッグスの物語は、単なる最大の伏線回収ではありません。それは、イーサン・ハントが30年間背負ってきた過去の「罪」と向き合い、乗り越えるための、必然の物語だったのだと筆者は思います。
そして、監督クリストファー・マッカリーと製作のトム・クルーズが、TVシリーズからのファンが抱いていた「なぜ英雄ジム・フェルプスを裏切り者にしたのか」という長年の心のわだかまりに対して、その息子に名誉ある役割を与えることで応えた、製作陣から我々ファンへの「清算」でもあったのかもしれません。
この記事を読んで、『ミッション:インポッシブル』シリーズをもう一度見返したくなった方も多いのではないでしょうか。特に、ブリッグスの視点で第1作と『ファイナル・レコニング』を続けて観ると、また新たな発見があるはずです。
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この記事ではブリッグスとイーサンの関係性に焦点を当てましたが、イーサンを第1作から支えてきたルーサーや同じく第1作で登場したダンローの活躍も、忘れてはいけません。
上記の記事では、『ファイナルレコニング』での「ルーサーの死亡」と「ダンローの活躍」を詳しく解説しています。合わせて読むことで、30年の歴史をもつ壮大な『ミッション:インポッシブル』シリーズの魅力がより深く理解できるはずです。
また、この記事では触れられませんでしたが、グレースやパリスといった他のキャラクターの視点から見ると、『ミッション:インポッシブル ファイナルレコニング』はまた違った顔を見せてくれます。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
これからも『ミッション:インポッシブル』シリーズの深い魅力を、一緒に探求していけたら嬉しいです。
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