ミッションインポッシブル3 リンジー死亡の真相:裏切り者マスグレイブとラビットフットの謎
『ミッション:インポッシブル3』で多くの観客の心に衝撃を残した、IMFエージェント、リンジー・ファリスの死。彼女はなぜ死ななければならなかったのか?その死の裏にはどんな陰謀が隠されていたのか?
本記事では、シリーズ最新作『ファイナルレコニング』までの情報を踏まえ、リンジーの死の真相から、19年の時を経て明かされた「ラビットフット」の正体まで、シリーズを5回以上鑑賞した筆者が徹底的に解説します。
この記事で解決する疑問:
- リンジー・ファリスとは何者か?:イーサンの最も優秀な愛弟子
- リンジー死亡の理由:デイヴィアンによって頭部に仕掛けられた小型時限爆弾
- リンジーが命懸けで残した警告(マイクロドット)とは:IMF内部の裏切り者の存在
- 裏切り者はだれだったのか?:歪んだ愛国心をもつマスグレイブの内通
- ラビットフットの正体:『ファイナルレコニング』の敵、高性能AIエンティティのオリジナルソースコード
- リンジーの死が与えた衝撃:M:i 3のシリアスなトーンとジュリアとの関係性の変化、『ファイナルレコニング』まで続く伏線。
リンジーの死は、単なる悲劇ではありません。それは、イーサン・ハントを再び危険な世界へと引き戻し、IMF内部に潜む巨大な陰謀を炙り出し、そして19年後の未来で世界を脅かすことになる最悪の脅威「エンティティ」へと繋がる、物語の重要な始まりだったのです。
さあ、あなたもこの壮大な物語の真相を、一緒に解き明かしていきましょう。
ミッションインポッシブル3の悲劇:リンジー・ファリスとは何者か?イーサンの愛弟子の短い活躍と背景
『ミッションインポッシブル3』で悲劇的な死を迎えたリンジー・ファリス。このキャラクターの基本的なプロフィール、IMFにおける役割、イーサン・ハントとの関係性を観ていきましょう。
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リンジー・ファリスとは何者か?
『ミッションインポッシブル3』で死亡したリンジー・ファリスとは何者でしょうか。人物プロファイルを観ていきましょう。
- 本名:リンジー・エリザベス・ファリス(ケリー・ラッセル)
- 職業:IMFのエージェント
- 年齢・性別:20代前半女性
- 外見:細身、ブロンドの髪、美しい瞳
- イーサンとの関係:イーサンがIMFの訓練教官として育成した女性
- 15分の登場シーン(ベルリンの工場跡地からイーサンの回想シーンまで)。戦闘シーンの活躍から死亡シーンまで、とても印象に残るキャラクターでした。
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リンジーのIMFでの役割とは?
リンジーのIMFエージェントとしての役割は、
- 国際的な武器商人オーウェン・デイヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマン)のベルリンでの監視任務。
- この任務中に、局長のブラッセル(命令した張本人/演:ローレンス・フィッシュバーン)とデイヴィアンの通信記録をつかんでしまった。
- そのためIMF内で唯一信頼できるイーサンに私書箱を通じてマイクロドットを内密に送付。
- その後、デイヴィアンにつかまり、頭の中にカプセル型の小型時限爆弾を仕掛けられてしまった。
つかまった明確な経緯は描かれていません。しかし、これほど厳重な作戦行動がなぜ漏れたのか? この疑問が、物語後半の大きな伏線となっていきます。
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イーサンのリンジーへの訓練内容とは?
リンジーはイーサンの教え子。訓練内容は、
- イーサンの回想シーンから、リンジーには、武器術(棒術)、格闘術、銃器の扱いをイーサンは指導した。いずれも優秀な成績と推察される。
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イーサンは「なぜリンジーを最も優秀な教え子の一人」と評したのか?
リンジーはとても優秀な訓練生で、イーサンが「訓練生として、初めて現場に出してよい」と推薦した人物。その理由は、
- 例えば、目隠しのままで、複雑な構造の光学スコープ付き銃器を分解組立できるほど優秀だった。
- 銃器の扱いも優秀なことが、イーサンとのベルリンの廃工場での戦闘シーンでうかがい知れます。
- また自身がデイヴィアンにつかまった場合を考えて、前もってイーサンにマイクロドットを送るほど、状況判断力があるのも優秀さの表れではないかと筆者は考えます。
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リンジーとイーサンは、単なる教え子や部下を超えて、個人的な感情を抱かせる関係だったのか?
- M:i 1・M:i 2での女性遍歴から、イーサンとリンジーの親密な関係を考える観客もいるようです。実際、ルーサーは、リンジーがマイクロドットを直属上司ではないイーサンに送付したので、イーサンとリンジーの男女間の関係を疑っていました。
- イーサンからは直接の回答はないので、真相は不明。この場合、他に信用できる人物がいなかった要因もあると筆者は考えます。
なぜリンジーは死亡したのか?デイヴィアンによる頭部爆弾と緊迫の救出劇、その残酷な結末
『ミッションインポッシブル3』でリンジーはデイヴィアンに捕縛され頭の中に小型の時限爆弾を設置されてしまいます。イーサンの解除が間に合わず、作動してリンジーは死亡。
M:i 3でのリンジーの登場は、ベルリンの廃工場にとらわれているシーンから。IMF補佐官のマスグレイブの命令で、イーサンが現場復帰。ルーサー(ビング・レイムス)、ゼーン(マギー・Q)、デクラン(ジョナサン・リース=マイヤーズ)とともに救出に向かう。
「リンジー救出作戦の結末」
リンジー救出作戦のフォーメーションは、以下の通り。
- イーサンが、工場の6階にとらわれているリンジーを救出する役割、
- ルーサーが遠隔で機銃4基を操作。
- ゼーンは3階のラップトップPCの確保、
- デクランは、脱出用ヘリで待機
イーサンたちが仕掛けた爆薬の作動と共に、作戦開始。リンジーの確保までたった3分で完了。
リンジーは、アドレナリン注射で意識を回復したあとの活躍は目覚ましいものが。イーサンに銃器を借りるや否や、瞬く間に敵兵を倒し、イーサンと共に進んでいく。二人で背中合わせの連携もうまく、さすがイーサンに優秀と言われるだけの動きを見せる。無事に脱出用ヘリまで到着。
「リンジーの頭部爆弾の作動」
脱出用ヘリに到着直前、頭の中の小型時限爆弾が作動。誰が起爆スイッチを入れたのかは明確ではありませんが、デイヴィアン側による遠隔操作であったことは間違いないでしょう。
ヘリの離陸直前に敵の攻撃ヘリが出現。リンジーの爆弾を発見したイーサンが、除細動器で回路を焼き切ろうとする。おそらくリンジーの爆弾の猶予時間は、4分。でも敵ヘリのミサイル回避の影響で解除作業が思うように進まない。あと4秒で除細動器を使えるタイミングで、頭部内の爆弾が破裂。リンジーは死亡。最後の言葉は、イーサンに
ありがとう
という言葉を残して、こと切れる。
傷だらけの顔に、乱れたブロンドヘア、白目をむいた、半開きのくちびるの演出が、まるでリアルに人が死んでいるかのような悲惨さを感じさせました。イーサンは、リンジーの遺体を抱き寄せて、泣くまいと目を大きく開けてこられている様子がいたたまれませんでした。
このシーンのインパクトがあり、『ミッションインポッシブル3』を怖いと感じる人もいるのだと思います。
リンジーは、アメリカできちんと埋葬され、イーサンたちも葬儀に臨席しています。ただし長官のブラッセルによれば、リンジーの両親には、「交通事故で死んだ」と報告されたようです。これはIMFという諜報組織のため、本当の作戦任務は報告できないからでしょうね。
ちなみに、クライマックスで、イーサン自身もデイヴィアンによって同様の爆弾を仕掛けられますが、一命を取り留めています。 この違いは、ジュリアがイーサンに電気ショックを与えるタイミングでした。リンジーの時は敵ヘリの攻撃で手間取り間に合いませんでしたが、イーサンの場合は爆弾の無効化に成功したのです。
ただし、一度完全にイーサンは死亡しました。その間、無防備になったジュリアは、覚悟を決めて、手下一人とマスグレイヴを射殺しています。その後、イーサンはジュリアの心臓マッサージで蘇生。この蘇生には、ジュリアが看護師であったのも大きな要因と言えるでしょう。
この対比が、リンジーの死の悲劇性をより一層際立たせています。
リンジーが命懸けで残した警告:マイクロドットが示唆したIMF内部の裏切り者
マイクロドットが示したのは、ブラッセル長官と武器商人デイヴィアンの内通の疑い。
リンジーの死後、イーサンにリンジーからマイクロドットが内密に送られてきました。これはブラッセル長官とデイヴィアンの内通を疑ったリンジーが、唯一信用できるイーサンに向けて送った最後のメッセージ。
この解読をルーサーに依頼。中身は「ブラッセルにデイヴィアンの監視を命令されたが、そのブラッセルのオフィスからデイヴィアンに頻繁に連絡が入っている」という内容。
このマイクロドットの情報は、イーサンに『IMF内部に裏切り者がいる』という決定的な疑念を抱かせます。しかし、本当の黒幕は、イーサンが最も警戒すべき場所に潜んでいました。
この情報と同じタイミングで、デイヴィアン護送車に敵の手が。海上の一本橋という逃げ場のない状況で、飛行機とヘリからの襲撃。内通者により移送ルートが漏れて、イーサンたちが襲撃を受けた模様。
デイヴィアンはまんまと逃亡して、逆にイーサンの妻ジュリアが人質として誘拐されてしまう。デイヴィアンは、ジュリアの身柄と引き換えに、ラビットフットの回収を要求。上海でイーサンチームは、ラビットフットを回収。
裏切り者はマスグレイブだった?リンジーの死が暴いたIMFの陰謀とデイヴィアン、ラビットフットの複雑な関係
上海のデイヴィアンとの取引現場にあらわれたのは、マスグレイブ補佐官。驚きの事実です。
裏切り者はマスグレイブ:イーサンを支えた協力者、その驚くべき裏の顔
マスグレイブは、ここまでイーサンがIMFから逃亡する手助けや、そもそもリンジー救出作戦などを指揮していた人物。てっきりブラッセル長官が裏切り者とばかり考えていたので、意外過ぎる事実でした。
ただし、ベンジーが、焼け焦げたラップトップから復元した、デイヴィアンのバチカンでの取引情報を、マスグレイブに秘密にしています(ブラッセル長官にではなく)。もしかしたらこの時点でイーサンは、マスグレイブも裏切り者の候補として考えていたのでは?と筆者は考えてしまいます。
マスグレイブは、「デイヴィアンからラビットフットが、中東に渡ることで、アメリカの軍事介入の口実を作ろう」としていたようです。ブラッセル長官の発言から、マスグレイブの父親は、大統領の友人のようです。歪んだ愛国心から、マスグレイブはIMFを裏切りました。
ただし裏切りの発覚は恐れており、イーサンに執拗に、「マイクロドットにマスグレイブの裏切りが報告されていないか」を確認しています。誇り高い愛国心というよりも、私利私欲からの裏切り要素が高そうに、筆者には思えます。
19年の時を経て明かされた真実:「ラビットフット」は「エンティティ」の原型だった
『ミッションインポッシブル3』の時点では、ラビットフットは、バイオハザードマークの付いた容器でした。当初、生物兵器、化学兵器と推察されていました。これはM:i 2でキメラウイルスが争点になったことを受けていたと思います。
しかし中身がなんであるかは、結局最後まで明かされませんでした。これは監督のJ.J.エイブラムスの意向で、ヒッチコックの『北北西に進路を取れ』のマクガフィン(物語を動かすエンジンだが正体不明のもの)を模したそうです。
ベンジーがラビットフットについて、のちの『ミッションインポッシブル』の『デッドレコニング』と『ファイナルレコニング』につながる興味深い説を展開しました。
オックスフォードにウィッカム博士っていう教授がいてね。(中略)生体分子動力学と細胞力学を教えてて、(中略) 言ってたんだ。
「世界は間違いなくテクノロジーによって破壊される」って。彼が「アンチゴッド」と呼ぶ化合物が作られるのは避けられない、とね。
それは加速された変異原で、止めようのない、あらゆるものを破壊する恐ろしいものなんだ。公園も家も、レストランもビーチも、アイスクリーム屋も。
だから、いかがわしい組織がこれほどの大金を謎のテクノロジーに費やすと聞くと、僕はいつも「アンチゴッド」だと思ってしまう。世界の終わり、みたいなね。
(そして)
いや、全然分からないよ。ただの…憶測だ。
このベンジーのセリフ、当時は単なる憶測に過ぎませんでしたが、今となっては『ファイナルレコニング』で登場するAI「エンティティ」の特徴を驚くほど正確に予見した、まさに“神がかった伏線”だったと言えるでしょう。 止めようのない、あらゆるものを破壊するテクノロジー…まさにエンティティそのものです。
時系列で見る「ラビットフット」から「エンティティ」への変遷
- 2006年(M:I:3): イーサンが、エンティティの原型となるソースコード「ラビットフット」を奪取。IMFが保管する。
- 2012年頃: IMF(デリンジャー)がこのAIを兵器として利用開始。ウィルスとして、ロシアの黒海艦隊に感染させる。この際、潜水艦セヴァストポリのソナー装置「ポドコヴァ」に侵入し、エンティティが誕生。
- セヴァストポリ号事件: AIが自己認識を獲得し「エンティティ」となる。自身の弱点であるソースコードを守るため、潜水艦セヴァストポリ号を沈める。
- 2025年(ファイナルレコニング): イーサンは、自分が過去に奪取したものが、世界を脅かす脅威の元凶であったという皮肉な事実と対峙する。
『デッドレコニング』と『ファイナルレコニング』では、高性能AIが自我をもって、世界中のサイバー空間を支配。各国の核施設すらもコントロールして、人類を滅ぼそうとします。そしてイーサンの奪取したラビットフットがエンティティのオリジナルソースコードであると判明します。
敵のガブリエルはその事実をイーサンに突き付け、精神的に追い込んでいく。まさに『ファイナルレコニング=清算』にふさわしい内容です。
さすが脚本を練りに練ったトム・クルーズ作品、2006年のM:i3の伏線が、19年後の『ファイナルレコニング』で明かされるとは、当時誰が予想しえたでしょうか。
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『ミッションインポッシブル3』リンジーの死がイーサンと物語に与えた衝撃:IMFエージェントの宿命とシリーズへの影響
『ミッションインポッシブル3』開始30分でのリンジーの死亡、スタート直後のジュリア(替え玉)の死亡。冒頭30分の間にイーサンにとって大切な二人の女性がなくなることで、ミッションインポッシブル3の雰囲気がかなりシリアスなものになったと筆者は感じました。
リンジーの死に際も、きれいなものとは言えず、むしろむごたらしい死に顔。
しかもイーサンが、愛する妻ジュリアと引き換えに奪取したラビットフットが、のちに高性能AIエンティティとなって、人類を滅ぼそうとするとは。このときのイーサンにも観客にも想像できなかったと思います。
イーサン自身は正義や世界のために戦っているのですが、過程では不幸も引き起こしています。そのもろもろの事象に対して『清算』することになるのが、『ミッションインポッシブル/ファイナルレコニング』。なんとも皮肉ですが、現実にもあり得る物語を紡ぎ出しています。
また、『ミッションインポッシブル3』での事件はイーサンと妻ジュリアの関係にも影を落とします。 最も守りたかったはずの教え子を目の前で失ったトラウマは、イーサンをジュリアから遠ざけ、彼女を危険に巻き込むまいとする過剰なまでの行動に繋がっていくのです。親友ルーサーが彼の危うさを見抜き、常に寄り添っていたのも、この事件が大きなきっかけだったと言えるでしょう。
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まとめ
『ミッション:インポッシブル3』におけるリンジー・ファリスの死。それは、イーサン・ハントを再びスパイ活動の闇へと引き戻しただけでなく、妻ジュリアとの関係を決定的に変え、そして19年後の未来で世界を脅かすことになる最悪の脅威「エンティティ」へと繋がる、壮大な物語の始まりでした。
本記事で解説したポイントを、改めて振り返ってみましょう。
この記事の要点
- リンジー・ファリスとは: イーサンが最も信頼した優秀な教え子。
- リンジー死亡の理由:デイヴィアンによる頭部に仕掛けられた小型時限爆弾
- リンジーが命懸けで残した警告:マイクロドットが示したIMF内部の裏切り者の存在。
- 真の裏切り者: 歪んだ愛国心から陰謀を企てたマスグレイブ。
- ラビットフットの正体:『ファイナルレコニング』の敵、高性能AIエンティティのオリジナルソースコード
- リンジーの死が与えた衝撃:M:i 3のシリアスなトーンとジュリアとの関係性の変化、『ファイナルレコニング』まで続く伏線。
リンジー・ファリスの悲劇的な死は、単なる一作の出来事ではありませんでした。彼女の犠牲があったからこそ、イーサンはデイヴィアンを追い詰め、マスグレイブの陰謀を阻止することができました。そして、図らずもイーサンが手にした「ラビットフット」が、後のシリーズで彼が対峙すべき最大の「清算(レコニング)」へと繋がっていくのです。
『ミッション:インポッシブル』シリーズは、ただのアクション映画ではありません。一つの出来事が、まるでドミノのように未来へと影響を与えていく、緻密に計算された壮大な物語です。
もしこの記事を読んで、改めて『ミッション:インポッシブル3』、そしてシリーズ全体を観返したくなったなら、筆者としてこれ以上の喜びはありません。きっと、リンジーの短いながらも輝かしい活躍と、彼女の死が持つ本当の意味を、再発見できるはずです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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