ミッションインポッシブルの殺し屋パリスの解説。デッドレコニングでパリスはなぜガブリエルに裏切られたのか。死亡せずに生き残った理由、ファイナル・レコニングで大きく内面的成長した経緯、ポム・クレメンティエフの役作りやキャリアも紹介!
『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』に登場した女殺し屋パリス。ほとんど言葉を発せずに、殺しに徹する振る舞いに、まるでターミネータのようなイメージを抱いた方も多いのではないでしょうか。
続編の『ミッション:インポッシブル/ファイナルレコニング』ではパリスに変化が。イーサンの仲間になり、表情に変化、フランス語から英語の発言もあらわれ、最後にはベンジーを救助。シリーズ屈指の内面的成長を遂げたキャラクターと言っても過言ではないかもしれません。
でも謎めいたところが多いキャラクターなのが、パリス。
ここではパリスのこんな疑問に答えます。
- 『デッドレコニング』でパリスはなぜ裏切られ、死亡せず、生きているの?
- 『ミッションインポッシブル』でパリスが大きく成長したとは、どんなところ?
- パリス成長のターニングポイントは具体的には?
- パリスは何語を話しているの?
- パリスを演じたポム・クレメンティエフはハーフ?、日本人?
表情メインの演技で印象に残った殺し屋キャラクター、パリス。その印象に残った理由を探っていきます。
『ミッション:インポッシブルの』のパリスの正体:M:i 7-8で最も内面的に成長したフランスからの殺し屋
『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』で初登場したパリス(ポム・クレメンティエフ)。『デッドレコニング』では、ガブリエル(イーサイ・モラレス)の配下としてイーサン・ハント(トム・クルーズ)たちに敵対する冷酷な暗殺者。
でも、そんな暗殺者のパリスは『デッドレコニング』と『ファイナルレコニング』で最も内面的成長の大きかったキャラクター、と筆者に思えます。
パリスのキャラクターについてまとめると:
項目 | 内容 |
名前 | パリス(Paris) |
役者 | ポム・クレメンティエフ(Pom Klementieff) |
初登場 | 『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』(2023) |
出自・設定 | フランス人の殺し屋。ガブリエルの部下として登場。 |
性格・雰囲気 | 冷酷、無慈悲、謎めいている。 |
言語 | 主にフランス語。ファイナルレコニング後半で英語も使い始める。 |
行動の特徴 | ほとんど言葉を発せず、表情や動きで感情を伝える。鋭い目つき。 |
得意分野 | 格闘術・武器術・場所を選ばず、刃物や素手での戦闘に長けている。 |
物語での立場 | 当初は敵(ガブリエル配下)→イーサン側に転じる。 |
心理・動機 | 最初は孤独な殺し屋。イーサンに命を救われたことで心に変化。仲間や絆を受け入れ始める。 |
キャラの成長 | 殺人マシーンから仲間を救う者へ。感情表現が豊かになり、英語で会話するようにもなる。 |
監督・演出意図 | 監督クリストファー・マッカリーは、パリスの内面や成長に強くフォーカスし、独自性を際立たせた。 |
彼女はフランス出身の殺し屋で、ほぼセリフなし。鋭い目つきと圧倒的な格闘術でイーサンたちに襲い掛かります。とても少ないセリフも、主にフランス語、感情表現も少ない。だから謎多き冷徹な殺人マシーンの印象が筆者には強く残っています。
印象的なのは、ポム・クレメンティエフのかっこいい格闘シーン。路地裏や列車内など、狭い場所での格闘場面が続き、結構戦いにくい場所。でも彼女はマーシャルアーツを学んでいるので、かっこいい戦闘シーンを披露します。
監督クリストファー・マッカリーは、パリスの内面や成長に強くフォーカスし、彼女の独自性を際立たせています。
パリスは「冷酷な殺人マシーン」として登場しながら、『デッドレコニング』と『ファイナルレコニング』でのイーサンとの出会いをきっかけに“人間らしさ”を取り戻していくキャラクター。その無口さや鋭利な視線、そして徐々に現れる感情の揺らぎが、彼女の正体と魅力を際立たせていると筆者は感じました。
この後、パリスがなぜ裏切られ、どうやって生き延びたのか、その衝撃の展開をさらに掘り下げていきます。いやー、気になりますよね…!
『デッドレコニング』でパリスはなぜ裏切られ、死亡せず、生きているのか?
『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング』の中盤、パリスはイーサンに敗北。でもイーサンはパリスを殺さず見逃します。
この「命を救われた」出来事が、AIエンティティとガブリエルに“裏切りの未来”を予想させます。狭い列車内での瞬間的なアクションの末、パリスはガブリエルに刺されて瀕死の重傷を負います。この無駄に引っ張らないプロの殺し屋同士の戦い、リアル感がましましで好きです。
それでもパリスは、落下する列車からイーサンとグレース(ヘイリー・アトウェル)を救助。とても動ける状態には見えなかったので、死亡かと思われましたが、瀕死で生き残ります。ドガ(グレッグ・ターザン・デイヴィス)が彼女の脈を確認し、「生きてる」と示唆する描写があったのです。そこで『デッドレコニング』でのパリスの登場はここまで。
このパリスの救助行動は、筆者には最も予想外でした。いくらイーサンに助けてもらったとはいえ、瀕死の状態でその恩を返すとは。ただのヴィランにしておくのは惜しいキャラ『ファイナルレコニング』での登場ではうれしく思いました。
さて、次は『ファイナル・レコニング』でパリスがどんな変化を遂げるのか、観ていきます。
『ファイナル・レコニング』でのパリス:ガブリエルへの復讐心からイーサンチームの一員へ
『ミッションインポッシブル ファイナルレコニング』で再び登場したパリス。今度はイーサンと共闘します。筆者は「昨日の敵は今日の友って、こういうことか!」と心底驚きました。
前作でガブリエルに裏切られ、死の淵から生還したパリスは、オーストリアの収監先から再登場。序盤はほとんどフランス語しか話さず、無口で感情を表に出さない殺し屋モード。ガブリエルへはサーチ&デストロイと言わんばかりに、見つけて即発砲。復讐心でたぎっています。
でも、ただの復讐マシーンでは終わらないのが彼女の魅力。
中盤には表情や言動に変化が。そしてとうとうイーサンたちと英語での会話も登場。言語は自身のアイデンティティの根幹の一つ。身近な例でいえば、東京で方言を使う人みたいなもの。なかなか変えることはできません。その言語をフランス語から英語に変えてきた。
ここは孤独な殺し屋からチームに歩み寄り始める心境変化の象徴的場面だと筆者は考えました。
特に印象的だったのは、パリスがベンジー(サイモン・ペッグ)を救命するシーン。「殺しの知識しかない」という彼女が、人を救う側に回る。この瞬間、パリスの“孤独な殺し屋マインド”が“チームの一員として仲間を守るマインド”へと変わった瞬間と筆者は取られました。
このように『M:i 7-8』を通じて内面的成長を遂げたパリス。次のセクションでは、パリスの「成長のターニングポイント」をシーンを負ってみていきます。
殺人マシーンから「仲間を救う者」へ:パリスの心を動かした7つのターニングポイント
『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』で、パリスはシリーズ屈指の変化を遂げたキャラクターだと筆者は思います。
その変化をまとめると、以下のように:
段階 | パリスの状態・立場 | 主な動機・心理 | チームとの関係・行動 | 成長・変化のポイント |
序盤 | 孤独で警戒心の強い存在、
元・ガブリエルの右腕 |
ガブリエルへの復讐心 | IMFチームと行動を共にするが、
まだ完全には仲間ではない |
敵意と警戒心を持ちつつも、
イーサンたちと行動を共にするようになる |
中盤 | IMFの作戦に参加する協力者 | 復讐心に加え、
仲間への信頼や共感が芽生え始める |
作戦に積極的に参加し、
仲間との距離が縮まる |
表情や態度に柔らかさが見え始め、
チームの一員としての意識が芽生える |
終盤 | 仲間を守る者、
IMFチームの一員 |
復讐心を超え、
仲間を守るという自らの意志で行動する |
危機的状況で仲間を守るために戦う、
チームに不可欠な存在となる |
「殺人マシーン」から「仲間を救う者」へ、
人間的な感情を取り戻し、ヒーロー的な側面を見せる |
ここではシーン別に、パリスの変化と成長を観ていきましょう。
【序盤】復讐心と孤独:“敵”から“協力者”への第一歩
- オーストリアの収監先:銃を下ろすパリス:
物語冒頭、オーストリアで収監されていたパリス。ジェフとドガに連行される途中、イーサンとベンジーが救出に現れます。ここでパリスは、以前なら躊躇なく発砲していた場面で、イーサンとドガを前に銃を下ろし、イーサンに銃を預ける。この一瞬、彼女の中に「殺すこと以外の選択肢」が芽生え始めたのだと筆者は感じました。
「あれ?、パリスが一人も殺さない、内面変化の兆しかな?」と筆者は感じました。
- ロンドンの地下:復讐心むき出しのパリス:
ロンドンの地下で、パリスは自分を裏切ったガブリエルへの復讐心を隠さず、逃走する彼にいきなり発砲。裏切りに対する怒りと痛みが、彼女の行動にストレートに現れている。この場面、筆者は「まだ“殺し屋”の顔だな」と感じました。
【中盤】チームとの距離が縮まる:“孤独な殺し屋”から“仲間”への揺らぎ
- 北極海への移動中:鋭い目つきの沈黙:
ベンジーたちと行動を共にするパリスですが、ほとんど言葉を発しません。この周りとの壁を作っているかのような無言は、彼女の孤独や警戒心を無意識に表現している筆者は考えました。実際、ポム・クレメンティエフ自身も「パリスは表情や動きで語るキャラ」と語っています。
- SOSUS基地:戦闘能力の発揮:
グレースの発砲音をきっかけにロシア兵との格闘が勃発。パリスは圧倒的な戦闘力で敵を撃退します。ここでも“殺し屋”としての本能が全開ですが、以外にも死者は出ていません。
筆者は「このシーン、パリスの“プロの殺し屋としての誇り”と“人間らしさ”がせめぎ合っている」と感じました。
- 南アフリカのコンゴ:英語の使用が、仲間意識の芽生えを象徴:
イーサンの作戦会議中、パリスはウイスキーを飲みながら静かに話を聞いています。初期の冷徹な表情から、少しずつ“余裕”や“共感”が顔に現れ始める。
この時のパリスの表情、筆者は「もう殺し屋から変化してきているな」と感じました。仲間の会話に溶け込もうとする意志が、微妙な表情の変化に表れているのです。実はここで初めてパリスが英語を話すんです。これまでフランス語しか話さないのは、英語をメインとするイーサンチームには馴染むつもりがない、無意識でもその表れだったかもしれない。でもここで英語を使った。これはチームの”仲間”になろうとする意識のあらわれと筆者はとらえました。これがクライマックスのベンジー救助への布石になると観ました。
【終盤】仲間を守る者へ:“殺人マシーン”から“一人の人間”への転換
- 終末の保管庫での乱戦:前衛としての信頼:
イーサンと共に前衛を務めるパリス。仲間として信頼されている証であり、もはや“敵”ではなく“味方”として受け入れられている。
この隊列、とても印象的。「パリスがイーサンと並んで戦う日が来るなんて!」、『デッドレコニング』では全く想像できませんでした。
戦闘スタイルも、ポム・クレメンティエフの長年の武術トレーニングが活きており、アクションのリアルさはシリーズ随一。特に高く蹴り上げる足技は、ポム自身も得意技と考えているようで、きれいに決まっています。
- 終末の保管庫・コンピュータールーム:仲間の命を救う者へ:
負傷したベンジーの胸に穴を開けて空気を抜き、命を救う。「人を殺すスキルしかない」と自嘲していたパリスが、ついに“仲間を救う者”へと変わった瞬間です。
筆者はこのシーンで、大変驚きました。いや、ほんとに。
こうして振り返ると、パリスは「殺し屋」から「一人の人間、チームの一員」へと成長し、シリーズ最大級の成長を遂げたキャラクターだと筆者は思います。
彼女の変化は、“人を殺す”から“人を救う”へという、まさに“ミッションインポッシブル”な心の旅路でした。
パリスを演じるポム・クレメンティエフの素顔:多文化が生んだミステリアスな魅力と役作り
『ミッション:インポッシブル』シリーズでパリスを演じるポム・クレメンティエフ。
ルーツは、韓国人の母とフランス・ロシア系の父を持ち、カナダで生まれ。外交官だった父の仕事の関係で、幼少期は日本やコートジボワールでも過ごし、その後フランスで演技を学んだそうです。
ポム・クレメンティエフのプロフィールと役作り
- 多文化的な背景: 韓国・フランス・ロシアの血を引く。カナダ生まれ。
- 幼少期の居住地: 日本、コートジボワール、フランスなど。
- 言語: フランス語、英語。
- 役作りへのアプローチ:
- マーシャルアーツの厳しいトレーニング。
- M:iシリーズに出演するため、格闘技術の動画を自ら売り込んだ。
- トム・クルーズとクリストファー・マッカリー監督は、ポムのパフォーマンスを観ながら、パルスのキャラクターづくりを進めていった。
- スタントもできるだけ自らこなし、この点はトム・クルーズと被るものが。
- キャリア:
- フランスで演技を学び、2007年にフランス映画でデビュー。
- ハリウッドデビューはスパイク・リー監督の『オールド・ボーイ』(2013年)。
- マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のマンティス役でも知られています。
彼女の国際的なルーツと、役柄に深く没入するための徹底した準備が、パリスの無言でも表情で演じ分けられる、唯一無二の謎めいた魅力を醸し出していると筆者は感じました。
まとめ
『ミッション:インポッシブル/デッドレコニングとファイナルレコニング』で表情メインの演技で印象に残った殺し屋キャラクター、パリス。その印象に残った理由を探ってきました。
まとめると、
- 『デッドレコニング』でパリスはなぜ裏切られて、死亡せず、生きていたのは:パリスがイーサンに見逃されたことで、ガブリエルが裏切りを予測。ナイフで刺されるも、パリスはイーサンたちを助けたのち、ドガ達に救助された。
- 『ミッションインポッシブル』でパリスが大きく成長したところ:孤独で冷徹な殺し屋から、イーサンチームの一員に。クライマックスではベンジーの命を救った。
- パリス成長のターニングポイント:①”敵から協力者”、②”殺し屋から仲間”、③”殺人マシーンから一人の仲間”に変化。
- パリスの言語:フランス語
- パリスを演じたポム・クレメンティエフ:韓国人とフランス人のハーフ。日本人ではない。
パリスの変化と成長は、心を閉ざした人間でも、環境や周りの人間の影響で変わることができるというテーマを示してくれたように筆者は感じます。イーサン・ハントという存在が、彼女の閉ざされた心に光を灯し、新たな生きる道を示したのかもしれません。
『ミッション:インポッシブル』シリーズは、常に私たちを驚かせ、楽しませてくれます。これで最終作ともいわれているミッションインポッシブルシリーズ、魅力的なシナリオがあれば、続編を希望しています。
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